糖尿病について

第1章血糖値をコントロールするための5つのセオリー

■糖尿病治療は「入るを制して出ずるを量る」がすべて

 「入るを量りて出ずるを制す」。これは中国の前漢(紀元前206年~8年)の頃に編纂され、後に五経の一つとして尊崇された『礼記・王制』に出てくる言葉です。ご存じの通り、古来、国家財政から家計にいたるまで、財政の均衡を図る鉄則として使われています。
 本来意味するところは、「まず収入の状態をよく押さえた上で支出の計画を立てる」ですが、昨今はもっと大まかに「収入を増やして支出を抑えることが財政の要諦」といった感じで使われているようです。
 これとまったく逆になるのが、糖尿病治療です。食を制して、運動などでエネルギーを消費する。これが治療・改善の鉄則になります。
 もう、ずいぶん前のことになりますが、「臭いにおいは元から断たなきゃダメ」なんていうテレビコマーシャルがありました。臭いばかりではありません。何ごともトラブルは、それを生み出した大元の原因を処理しない、いつまでも解決しないということから生じてきます。
 このままつづけると少々話が尾籠になりそうなので、川の流れにたとえましょう。

川の源流は清く澄んでいて、最近では飲料水として売られる水もあるくらい
ですが、下流に近づくにつれ、さまざまなゴミや生活汚水などで汚れてきます。
この汚れた下流の状態が糖尿病で、ゴミや生活汚水が余剰の血糖と考えてください。下流でいくら掃除をしても上流から絶え間なくゴミが流れてくるので、いつまで経っても川はきれいにはなりません。         
生活習慣病と言われる病気はすべてが、この上流、つまり生活のあり方に原因があります。とりわけ、その原因と結果がダイレクトに結びついているのが糖尿病です。


 糖尿病(Ⅱ型糖尿病)について
糖尿病(Ⅱ型糖尿病)は、食生活・の乱れや偏りが重なることで高血糖がつづき、すい臓のインスリン分泌の働きが低下。その結果、さまざまな症状や合併症を引き起こす病気です。
 つまり、汚れ(病気)の原因となっているのは食の乱れであり、この上流を整え、正さないかぎり、根治もできないのです。
 これは今も昔も、糖尿病治療の大原則。これ以外の方法はないというのが医学の常識です。にもかかわらず、近年、巷ではサプリメントや怪しげな健康法など、この絶対原則を無視、あるいは軽視したような糖尿病治療法のハンランが目につきます。
 曰く、毎日○粒飲めば血糖値が下がる。曰く、○○体操を行えば血糖値がグンと下がる。また曰く、○○という食品が糖尿病の改善に効く。エトセトラ、エトセトラ。
 こんな文言が毎日のように新聞や雑誌、ネットに踊っています。しかも、その発信源のほとんどに医師のアドバイスが利用されているときては、正直なところ、驚きを通り越して、怒りすら覚えてきます。
先日も、「ハチミツが糖尿病の改善に効く」という記事が健康雑誌に載っていました。要約すれば、ハチミツの主成分であるフルクトース(果糖)とグルコース(ブドウ糖)の程良いバランスが糖のエネルギー代謝を高め、血糖値を下げてくれるというのです。

○炭水化物・・・ 簡単に説明しておきます。厳密には炭水化物=食物繊維+糖質のことです。しかし多くの本では糖質と炭水化物を同義語として扱っている場合がありますので、そこはうまく読み取ってください。糖質は最小単位として、ブドウ糖と果糖及びガラクトースの3つの単糖に分けられます。中でもブドウ糖と果糖の二つが糖尿病に大いに関係します。血糖値と言うと血液中のブドウ糖濃度のことを指しており果糖濃度ではありません。しかし果糖も糖尿病に大いに関係しますが、その説明は後述いたします。
糖尿病に良いと言うことを証明するには、今最も重要視されている食後血糖スパイクを考慮に入れなければなりません。たまたま空腹時血糖が下がっただけで糖尿病に良いと言う論調は常識あるドクターならどなたもされない筈です。糖尿病は食後の血糖変動の仕方で判断する病気なのです。

 前述しましたが食後血糖スパイクとは、ものを食べた後往々にして1時間前後に生じる急峻な血糖値上昇(140mg/dl以上)のことです。そして食後血糖スパイクがくり返されることが糖尿病の進む最大のリスクになることはすでに世界医学界の常識になっています。空腹時血糖値だけを見ていると長い間にわたり糖尿病の診断が遅れ結果に繋がります。てしまいます。
ちなみに正常な方の空腹及び食後血糖変動は80mg/dlから140mg/dl以内でなだらかに推移していることが殆どです。
 逆に言えば、この食後血糖スパイクをいかに抑えるかが糖尿病への進展阻止および糖尿病治療の根幹であると言っても決して過言ではありません。
 食後血糖スパイクについては、私の提唱する團式炭水化物コントロール法による糖尿病治療の重要ファクターになるので、後に詳しく述べます。

話をハチミツに戻しましょう。多くの方は、ハチミツは体によいと考えていると思います。しかし、ほかの健康効果はさておき、こと食後血糖スパイクに関しては、ハチミツはその摂取量によっては危険な部類に入る食品と言えるのです。
参考までに、ハチミツは大匙1杯でwtGL値は15g程度になります。それがブドウ糖を豊富に含んだパンにつけるとしたらやはり糖尿病の人にはよくないですね。後述しますが1食wtGL50g(ブドウ糖量換算50g)以下というのが糖尿病治療の原則です。
勿論ハチミツは糖尿病ではない人にとっては美味しい健康食品であることに違いはありません。
 つい最近にもあったことですが、私の患者さんの中に、それまで順調に数値も改善してきていたのに、あるとき突然、ヘモグロビンA1cが大幅に跳ね上がってしまった方がいました。
 食の改善にはマジメに取り組んでいる方なのにと不思議に思って、よくよく聞いてみると、数ヶ月前から「ハチミツなら体に良いから」と、バターの代わりにハチミツをパンにたっぷり塗って食べはじめたと言うのです。
 その結果、食後血糖スパイクがくり返されるようになり、数値が悪化してきたというわけです。因みに私は日常診察において腹部エコー検査や胃カメラ検査の日は別ですが、患者さんにはなるべく食事して来院していただき、食事の内容や食後何時間かを聞くように心がけています。
 バターよりハチミツのほうが糖尿病にもよさそうだと考えてる人は少なくないかもしれません。でも、実際は逆で、ハチミツのほうが食後血糖スパイクを起こしやすいのです。何故か。その理由は次項で明らかにしましょう。
ほかにも、さまざまな「糖尿病改善法」が跋扈していますが、どれも五十歩百歩です。
 厚生労働省の発表では、2017年における糖尿病通院患者数は、三二八万人を超え、過去最大に。この傾向は今後も続くのは必至ということで、マスコミを含めた健康産業にとっては糖尿病が一大市場になっていることも、こうした不確かな情報が飛び交う温床となっているのでしょう。
もちろん、私もサプリメントや機能性食品、運動の効用を頭から否定するものではありません。特に運動などは「出ずる」を促すには不可欠ですから、私も適したものをおすすめしています。
ただ、断言しますが、食の改善を柱にしない糖尿病治療は、たとえ枝や葉の助けになることはあっても、真の治療には決して結びつきません。かえって改善を妨げてしまうものもあるので、注意が必要です。
糖尿病の治療に、あっと驚くようなマジックはありません。愚直にコツコツ、ふだんの食事の改善に取り組むのが、結局は近道であり、正常な血糖変動が可能になるのです。


糖尿病との闘いを始める前には、まず、このことをしっかり肝に銘じてください。ぶれず、迷わず、ひたすら食の改善を目指せ! 私がこの本を上梓した一番の動機も、そこにあります。
 すると、こんなタメ息混じりの声が聞こえてきそうです。
 「食の改善が真っ当な治療法であることは分かるけど、時間がかかってまだるっこいし、空腹をガマンするのもつらいしなあ」
 いやいや、そんなご心配は無用です。みなさんが見過ごしている、いや多くの医者でさえ見過ごしている「糖尿病治療のセオリー」さえしっかり理解し、励行すれば、空腹や食べたいものが食べられないストレスに思い悩むこともなく、血糖値を良好にコントロールさせることができるのです。
単におやつやスポーツドリンクや炭酸飲料に気をつけるだけで良くなる方も意外と多くいらっしゃいます。

■カロリー幻想の呪縛から解放されよう!

 さて、問題はふだんの食事でどんな食べ物が体に入るのを制すればいいのか。これが糖尿病治療の成否を決める最大のポイントになります。

制すとは抑える、つまり減らすことです。といっても、口にするものすべてを減らさなくてはならないわけではありません。要は、「食べるとすぐ血糖を上げるもの」だけをターゲットにすればいいのです。
では、何を制御すればいいのか。
 多くのみなさんはカロリーだと思っていませんか。無理もありません。医者や栄養士でさえ、いまだに「カロリーを減らしましょう」と言っている人が大勢いますから。しかし、それが明らかに間違っていることは、とっくに多くの研究で証明されているのです。
 カロリーとは、私たちの体が脳や内臓を働かせたり、運動をしたりするのに不可欠のエネルギー(熱量)の単位です。
 私たちがふだん口にしている食べ物のほとんどにカロリーがあります。その大半を占める成分が三大栄養素と呼ばれる「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」です。
 手近に食品のパッケージがあったら、手にとって記載されている成分表を見てみましょう。たんぱく質、脂質、炭水化物のそれぞれの含有量が記されていますね(食品によっては含まれてない栄養素もあります)。1グラムあたり、たんぱく質は4キロカロリー、脂質は9キロカロリー、炭水化物は4キロカロリー含まれています。それぞれの含有量にこれらのエネルギー量を掛けて合計したものが、その食品のカロリー数になります。
どの栄養素にもカロリーはありますが糖尿病を論じるときは同じカロリー数でも何を食べるかによって全く違った結果になります。

■食後すぐ血糖値を上げる栄養素は炭水化物(厳密にはブドウ糖)だけ。糖尿病治療では、この事実が何より大切。糖質以外の栄養素から血糖が生じる反応のことを糖新生といいますが糖新生は空腹時や飢餓時などにおいて生じるものであり、低血糖予防の防御反応です。急峻な血糖上昇は起こりません。←糖新生の説明を別枠で

 私たちの主たるカロリー源となっているのは炭水化物、脂質、たんぱく質の、いわゆる三大栄養素です。どれも体内に取り込まれた後、それぞれの栄養素が独自の代謝を経て、最終的に細胞内のミトコンドリアの中にあるTCA回路(クエン酸回路)と呼ばれるエネルギー製造工場に送られ、エネルギーへと転換されます。またエネルギーで消費される一方で三大栄養素間の相互変化も必要に応じて巧みに行われています。  ←  三大栄養素の代謝の絵。解糖回路、T C A回路、電子伝達系
ここで三大栄養素の体内代謝について少しだけ説明すると
a)炭水化物は体内に取り込まれるとブドウ糖や果糖、ガラクトースという最小の単糖の形に分解されて消化吸収。このうちi)ブドウ糖は門脈を通ってまず肝臓でいき、その後全身の臓器でのエネルギー源として利用されます。残りはグリコーゲンや中性脂肪として肝臓などに貯蔵されます。ii)果糖は同じく門脈を通じ肝臓へ運ばれますが、全身臓器のエネルギー源になることはなく、肝臓で代謝され過剰分は中性脂肪へ変換され血液中や体内に蓄積します。中性脂肪値が高い人は果糖を含む食品に要注意です。  ここに中性脂肪の存在の仕方。血液中や組織中の説明を別枠で。
b)たんぱく質は、体内でアミノ酸になって門脈を通じて肝臓に運ばれ、やがて体の細胞や筋肉を作り、一部はエネルギーに。
c)脂質は体内で脂肪酸やグリセロールになって、たんぱく質や炭水化物と違い、そのほとんどは門脈ではなくリンパ管を通じて血液中に入ります。そして各臓器のエネルギー源や各細胞やホルモンなどの合成に利用されます。 
門脈やリンパ管と言った専門用語を並べましたが、糖尿病を語る上で門脈を通過するか否かが重要な意味を持つのでお許しください。

ついでに言うとa)食餌中の炭水化物及びタンパク質とb)体内にある
内臓脂肪は門脈を介して膵臓からのインスリン分泌に関係します。食餌中の脂肪は関係しません。これらの事実を知ることが糖尿病を理解する上で非常に大事です。

何度も言いますが、カロリーはさまざまな食品が持っていますが、その中で、糖尿病を引き起こす主犯は炭水化物なのです。ここに脂肪酸のインスリン分泌の絵や説明
にもかかわらず、「カロリーの過剰摂取が糖尿病を引き起こす」と、十把ひとからげに言っている医者の何と多いことか。まるで共犯者のように扱われているたんぱく質や脂肪はいい迷惑です。特に脂肪に関しては、過剰摂取された炭水化物が肝臓において脂肪に新たに変換されてしまうために濡れ衣をかけられています。

余談ですが必須アミノ酸や必須脂肪酸と言う言葉はありますが必須炭水化物という言葉はありません。
成人の体組成をざっくり言うと水分が約62%タンパク質が約16%、脂質が約15%,ミネラルが6%弱で糖質は1%未満という報告があります。
摂取カロリーの6割近くをともすれば摂取している炭水化物はエネルギーで消費される以外に上述の脂肪に変換されていることが容易に想像できませんか?
またカロリー制限の冤罪を被っているたんぱく質などを多く含む食品についていうと、炭水化物と一緒に摂取することによって、炭水化物による食後血糖の上昇を抑えてくれる働きもしてくれるのです。この件については、後に詳しく話しますので、ぜひ頭に留めておいてください。

■テストミール負荷試験が示す炭水化物単独犯の証し

ところで、この炭水化物については、患者さんと話していても曖昧な認識を持っていらっしゃる方も少なくありません。念のため、ここで少し詳しく話しておきましょう。
 誤解のないように申し添えておきますが、炭水化物は悪い、だから食べるななどと言っているわけではありません。必要な栄養素ですし、おいしい食品も多いことですから、基本的にはしっかり取るべきです。
糖尿病の方は炭水化物の食べ過ぎで糖尿病になるのですから、適正な炭水化物量にすれば良くなる。すこぶるシンプルな話なのです。
 カロリー全体ではなく、その中の炭水化物だけもっと言えばブドウ糖だけが食後高血糖を作り出すことは多くの研究で明らかになっていますが、たとえば、『テストミール(試験食)摂取による血糖変化』(テストミール負荷試験)のデータを見ても、それは一目瞭然です。
 糖尿病の診断は、空腹時血糖値の血液検査が一般的ですが、それ以外にも状況に応じていくつかの検査法があります。そのひとつが、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)です。
 この試験は、75グラムのブドウ糖の水溶液を飲用したときの食後血糖変動を観察し、血糖変化パターンによって糖尿病型、境界型糖尿病型、そして正常とに分けます。
 一方、ブドウ糖水溶液の代わりにテストミールを用いて糖尿病の診断を行う方法もあります。      
 テストミールは、糖尿病の診断の際して液体ではなく、固形にしてより実際の食事に近寄せた内容で構成されています。1食分に相当する炭水化物に適量のたんぱく質と脂質の固形成分を加えたものです。このテストミール食を摂取したときも、食後血糖の変動パターンは75グラムのブドウ糖水溶液を摂取したときとほとんど変わりません。もちろんブドウ糖負荷量が異なりますのでピーク値は違います

つまり、固形のテストミールを摂取した場合でも、食後血糖値上昇に関与しているのは炭水化物のみで、たんぱく質や脂質は影響していないことを示しています。
 さらに言えば、ブドウ糖75グラムは、カロリーにすると300キロカロリーです。一方、テストミールは450キロカロリーです。ここのグラフの比較からも血糖変動はカロリーではなく炭水化物量だという事は明白です。
 ちなみに、テストミールの中の炭水化物は約60グラムであり、wtGL値約50グラムに相当しています。このグラフの比較からは血糖変動はカロリーでなく、炭水化物の量と質によるということがお分かりいただける思います

これらの負荷試験での血糖変動のパターンを参考にして私は糖尿病の方の1食分の炭水化物量をwtGL50グラム以下と導き出しています。
 敵を知り、己を知らば百戦危うからず。孫子のこの言葉は病気との闘いにもそっくり当てはまります。糖尿病の場合は、敵(炭水化物)を知り、己(血糖値や症状、食生活の状態など)を正確に見定める。そうして、自らの力を炭水化物のみに絞って戦うことによって、効率的でムダのない治療を進め、より速やかに治癒という勝利を得ることができるのです。
 改めて確認しましょう。糖尿病の改善でターゲットにすべきは炭水化物(特にブドウ糖と果糖)。これが糖尿病治療の第一にして最大のセオリーなのです。果糖は食後過血糖の直接原因にはならないのに何故いけないかは後ほど。
 よく、糖尿病は不可逆性の病気で、いったんかかると一生つき合っていかなくてはならないと言いますが、そうではありません。
 糖尿病にかかっても、また、インスリン注射を打つ羽目になったとしても、炭水化物さえちゃんとコントロールしていれば、健康な体に戻ります。もちろん、炭水化物の摂取には一定の制約が必要になりますが、タンパク質や脂質をうまく取り入れれば食生活は十分エンジョイできるでしょう。糖尿病を不可逆性と言うのは間違っていまする。


astamuseより抜粋
もう一度言います。糖尿病はよくなる病気です。処方箋は「炭水化物の摂取の仕方」だけ。そして、その主治医は誰でもない、あなた自身なのです。糖尿病治療薬は注射薬も入れるとかなりの種類があります。それは特効薬がないことの裏返しです。かく言う私自身も折に触れ糖尿病治療薬を患者さんの各ステージに合わせて処方し利用しています。当然のことですが患者さんにはいつでもあなたの努力次第では投薬はやめられますよと持ちかけています。

■食後血糖スパイクを防ぐ六つのセオリー

 では、食後のグルコーススパイクを予防し、血糖値を改善していくには、具体的にどのようにしたらいいでしょうか。
 それが血糖値をコントロールする六つのセオリーです。それぞれ詳しくは後に紹介しますが、ここでは簡単に概略を述べておきましょう。
 第一のセオリーは、言うまでもなく「炭水化物の摂取量を適切な量まで減らす」こと。何と言っても、これが一番のポイントになります。
 糖尿病治療の闘いでは、敵は炭水化物ですが、ただ、敵というのはあくまでも比喩。炭水化物は糖尿病の方にとっても、なくてはならない栄養素です。
 医療・健康に関してはヨーロッパ中世の医学者、ファラフェリスの「量が毒となる」という有名な言葉があります。本来は体に害があるものでも、適量であれば有益になる場合もあります。薬などは良い例と言えるでしょう。
 逆に、本来体に有益なものでも、量が多ければ害になります。水でさえ、飲み過ぎれば体内の電解質バランスが崩れて水中毒になりかねません。具体的な症状としては、軽症の場合は頭痛・嘔吐・浮腫、重症の場合には意識障害などが現れてくる場合があります。
 炭水化物も同じです。エネルギー源として不可欠な炭水化物も、過剰に摂取しつづければ高血糖を招き、糖尿病になってしまいます。脂質やたんぱく質にしても、まったく同様。食はバランス、中庸が大事なのです。
 摂りすぎで招いた糖尿病を改善するには、量をセーブするのが一番合理的で確実なのです。
 第二のセオリーは、「炭水化物の質を見きわめること」です。炭水化物の質というと耳慣れない方も多いかも知れませんが、一言でいえば各食品の炭水化物の中に含まれているブドウ糖のことです。これは食品ごとに異なっています。
 炭水化物は体内では最終的にブドウ糖、果糖やガラクトースとよばれる単糖の形まで分解されて吸収されます。このうち、食後血糖値の上昇に直接関係するのはブドウ糖だけですから、実践の上では、その見きわめも非常に大切になってくるわけです。
 この点については、第三章で述べるwtGL値で詳しくご紹介します。
 第三のセオリーは、「他の栄養素の応援を活用する」ことです。先にも述べたよう、たんぱく質や脂質は食べても食後高血糖にはほとんど影響しません。それどころか、いずれもインスリンを引き出しますから、炭水化物(ブドウ糖)と同時に摂取することにより食後血糖値スパイクを緩和することが期待できるのです。私は糖尿病の方こそおかずを1品でも増やしてくださいと指導しています。
第四のセオリーは「食べる時間」。つまり、食事は時間をかけてゆっくり食べることです。一番の理由は、同量の炭水化物でも、少しずつ時間をかけて消化・吸収させることで、食後血糖値スパイクという急激な血糖変動を少しでも緩和させることができるからです。

ちなみにテストミール負荷試験では10分以内に摂取されているはずです。ならば炭水化物自体の摂取時間を例えば20分までかけると食後血糖ピークはさらに緩徐になることは自明です。
 第五のセオリーは「間食のとりかた」です。私は間食はおすすめしませんが、絶対に厳禁とまでは言いません。どうしても食べたくなったときには、血糖値の変動に大きな影響を及ぼさないよう、食べ物の種類や食べ方など、いくつかの条件を満たした形で楽しむように指導しています。
 第六のセオリーは「適切な運動」です。運動は増えすぎたブドウ糖をエネルギーに変えて消費することができます。ただし、効果を上げるためには、行うタイミング、時間、運動の種類に一定の条件があるので、注意が必要です。
 運動の面では、特に取りあげたいのが「桃色筋肉の強化」です。筋肉には瞬発力を発揮する際に使われる白筋(速筋)と、持続力を発揮する際に使われる赤筋(遅筋)がありますが、最近はこの二つの中間筋である桃色筋肉を鍛えることが糖尿病の改善に適していることが明らかになっています。
 詳しくは第5章で述べますので、ぜひ参照してください。

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