糖尿病 は自己責任?

糖尿病は自己責任の病です。
 糖尿病でお悩みの方には、冒頭から少々突き放したような言い方になって申し訳なく思いますが、これは長年、内科実践医師として数多くの糖尿病患者さんを診てきた私の正直な気持ちです。
 もちろん、これは日頃の食生活の乱れや偏重からくるⅡ型糖尿病に対してであり、インスリン分泌能力が欠乏しているⅠ型糖尿病に関しては、この限りではありません。同時に、この書はⅡ型糖尿病の方を対象に上梓したものであることも、合わせて書き添えておきます。
 Ⅱ型糖尿病(以下、糖尿病)発症の原因がふだんの食事にあるからには、その食事の改善が最も有効な治療法になることは自明の理です。
 コレステロール治療や高血圧治療のように薬でなんとかなるのではなく、患者さんの食事やライフスタイルの改善が不可欠である事が糖尿病治療を難しくしています。
 本書は、そうした“自分が主治医”の糖尿病患者さんに、長年、内科実地医として多数の、そしてさまざまな段階の糖尿病と向き合ってきた私が培い、成果を得てきた実践的かつ有効な処方箋--團式炭水化物コントロール法を詳しくご紹介し、自力改善に大いに役立てていただきたいという趣旨でお届けするものです。
 なお、本文で詳しく説明しますが、團式炭水化物コントロール法はすべてのⅡ型糖尿病患者さんを対象としていますが、主として食後血糖スパイク(食後1〜2時間後に生じる急峻な血糖上昇のこと)を抑えることを大きな目的に置いています。多くのケースにおいてヘモグロビンA1cが七%以下を糖尿病学会は目標にしていますが、私はさらに食後血糖スパイクのことを加味して患者さんの治療にあたっています。
なぜなら食後血糖スパイクを抑えていないとたとえ境界型糖尿病の段階からでもすでに動脈硬化やアルツハイマー認知症のリスクが始まっているという多くの報告があるからです。糖尿病の診断に至っている方は尚更のことです。

 さて、自らを主治医として糖尿病の食事治療に取り組む患者さんにとって、何よりも胸に刻みつけておいて欲しいのは「ターゲットは炭水化物にあり」ということです。
1)糖尿病は炭水化物過剰摂取により血液内のブドウ糖が上昇しているだけでなく2)体内で余剰な炭水化物から新たに作りだされた内臓脂肪(中性脂肪でできています)が引き起こしている病気なのです。
 みなさんは、糖尿病という病気はいったん罹ったら治らないし、食べ物も生活も制限される。それは事実ではありません。糖尿病は、実は原因と対策がきわめてシンプルで、一つのセオリーさえ守れば、ごく治しやすい病気なのです。現在インスリン注射を余儀なくされている方も、この1つのセオリーさえ守れば、時を経ずして、その煩わしさから解放されます。そして改善した後も、引きつづきそのセオリーを心がけていれば元に戻る心配もありません。
 そのセオリーとは「炭水化物(特にブドウ糖)をその時点の処理能力範囲内にまで減らすこと」。この一点に尽きます。a)量が多いのかb)早食いしてるのかのどちらかです。これからお話しすることは厳格な糖質制限ではありません。
私は適正糖質食と勝手に名付けてます。
たんぱく質も、脂質もふつうに食べて、何の問題もありません。
 やれカロリー制限だ、やれ脂が悪い、など本筋から外れたところに目を向けて、糖尿病をかえって難しい病気にしてしまっているのです。
 一つ、分かりやすい例を紹介しましょう。これは本文で詳しく述べますが、血糖に関する試験に「75GTTブドウ糖負荷試験」と「糖尿病テストミール負荷試験」というのがあります。   ←  この2つの試験の簡単な解説を別枠で

前者は液体ブドウ糖75g(300kcal)を、後者は炭水化物、脂質、たんぱく質で構成された固形のテストミール(460kcal)を10分以内に摂取させ、食後血糖値の上昇を見たものです。
 結果はカロリー信奉者にとっては意外です。300kcalのブドウ糖のほうが、460kcalのテストミールよりも血糖値の上昇が大きくなります。
この食後血糖値の差は、すちなわ炭水化物量の差であり、総カロリー量ではないことは、このグラフからも明らかです。
 つまり、血糖値を上げるのも下げるのも炭水化物であり、脂質やたんぱく質は食後血糖変動に関しては直接的には関与していないのです。そればかりか、これも後にふれますが、たんぱく質には一緒に食べた炭水化物による食後血糖スパイクを抑制する働きまであるのです。
 もう、お分かりかと思います。糖尿病の食事療法は、きわめてシンプルです。基本的に脂質やたんぱく質を気にすることはなく、ターゲットは炭水化物だけ。炭水化物の摂取量や摂取方法さえ念頭においてしっかりコントロールすれば、空腹や食の楽しみも奪われることもなく、確実に病気は良くなります。
 次の問題は、いかにして炭水化物をコントロールするか。この有効な戦術を心得ていないと、今度は「炭水化物の摂取を気をつけているつもり」でも、「つもり」だけに終わってしまいます。たとえば、食品の炭水化物含有量をあやふやなイメージだけでとらえていると、思いもよらぬ落とし穴にはまることも少なくありません。きちんと確認をせず、単なるイメージや思いこみで「これなら大丈夫だろう」と食べていたものが、逆に炭水化物が多く、改善の妨げになっていたという例は多くあるのです。

 実際、こんな笑い話のような話もあります。「先生の言うとおり、三度三度の食事はきちんと炭水化物をコントロールしているのに、いっこうに血糖値が下がらない」と文句を言うかたがいました。よくよく聞き取りしてみると、どうやら原因はおやつにあったようです。「和食は洋食に比べてヘルシー。だから、おやつでもクリームの多い洋菓子類よりあんこの多い和菓子類のほうがいいだろう」と、好きなケーキをがまんして、まんじゅうを毎日のように間食にしていたのです。
 しかし、思惑とは逆に、炭水化物の多さに関しては和が洋に優ることが多いのです。たとえばシュークリーム(35グラム)の炭水化物量は七.八グラム。これに対してほぼ同じカロリーの柏餅(40グラム)の炭水化物量は18.7グラムと、倍以上になるのです。  
  食品80キロカロリーガイドブックを参考    
 では、いかにして炭水化物をコントロールすればいいのか? 実は、ここからが團式炭水化物コントロール法の威力の見せどころで、主に五つのセオリーがあります。
 ●wtGLの活用で適切な炭水化物量を調整
 ●同じ摂取量でも、摂取時間次第で食後スパイクを抑制する
 ●他の食品(タンパク質や脂質さらには食物繊維)を併食するのも効果大
 ●間食のとり方にもひと工夫を
 ●適切な運動
 ちなみにwtGLとは、私が独自に考案した実際に食する食品のブドウ糖換算量の事です。この指標によって食後血糖値の上昇程度を占うことできます。世間ではG1値やGL値というのが用いられていますが、これだと実際に一般の方が活用しづらくより実践的な指標を求めたものです。これらの専門用語の説明は後述いたします。
 いずれのセオリーも、特に難しかったり、面倒なことでもありません。『あなたの食事こそ、あなた自身の薬である』。医学の祖、ヒポクラテスのこの言葉を胸に刻んで、ぜひ実践し、糖尿病との訣別を果たしていただきたいと、心から願っています。
 

関連記事

  1. 成人病・三大疾病について

  2. 糖尿病=ターゲットは炭水化物にあり

  3. 糖尿病食事のとり方(例と目安ピックップしました)

  4. 医療から見たダイエット

  5. 新型コロナ錠剤について

  6. メディカルからのSKINケア

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。